「犬が好きだから、ドッグランを開業してみたい」。ペットブームが続く中、そんなふうに
考える方が増えています。
実際、コロナ禍以降もペット関連市場は堅調で、ドッグランの需要は高まっています。
一方で、ドッグランは「作って終わり」ではありません。
施設の数が増えている今、利用者に選ばれるドッグランを作るには、開業の流れや届出はもちろん、施設そのものの作りにもこだわる必要があります。
この記事では、ドッグラン経営を考えている方に向けて、開業までの全体像から施設づくり
のポイント、費用の目安までを、外構工事の専門家の視点から解説します。
ドッグラン経営の全体像|開業までの流れ
ドッグランの開業は、大きく分けて以下のステップで進みます。
まずはコンセプトを固めるところからです。「小型犬専用で安心感を売りにする」「カフェ
併設でゆっくり過ごせる空間にする」など、どんなドッグランにしたいのかを明確にしまし
ょう。
コンセプトによって土地の広さや設備の方向性が変わるため、早い段階で決めておく
ことが大切です。
次に事業計画書の作成と資金調達。融資を受ける場合は、日本政策金融公庫の「新規開業資
金」などが活用できます。補助金・助成金も選択肢に入れておくとよいでしょう。
土地・物件が決まったら、施設の設計と工事に入ります。ここがドッグラン経営の肝で、後
ほど詳しく解説します。
並行して届出・許認可の手続きを進め、利用規約やオペレーション体制を整えたら、いよい
よオープンです。
ドッグラン経営に必要な届出・資格
意外に思われるかもしれませんが、ドッグラン単体の経営であれば、動物取扱業の登録は不
要です。
飼い主さんの管理のもとで犬を遊ばせる場所を提供するだけなので、直接お客さんの犬を取り扱うことにはならないためです。
ただし、いくつか注意すべきケースがあります。
土地の地目が「田」や「畑」の場合は、農地法に基づいて農地転用の手続きが必要になりま
す。
工事前に法務局で地目を確認しておきましょう。また、その土地がドッグランとして商
用利用できるかどうかも事前に確認が必要です。
カフェを併設する場合は、飲食店営業許可と食品衛生責任者の資格が必要です。
犬用おやつをテイクアウト販売する場合は、ペットフード安全法に基づき農林水産省への届出も求められます。
看板犬を施設に常駐させる場合は、「展示」として動物取扱業の登録が必要になります。
看板犬がいるだけでお客さんの印象は大きく変わりますが、その分手続きも増える点は押さえ
ておきましょう。
ドッグラン経営で成功するには?差別化がカギ
ドッグランの需要は確かに高まっていますが、施設の数も増えています。
公園や公共施設に併設された無料のドッグランも各地にあり、有料施設は「お金を払ってでも行きたい」と思わせる必要があります。
収益面では、利用料だけに頼るのではなく、カフェやショップの併設、会員制プラン、しつ
け教室やイベントの開催、ペットホテルやトリミングとの複合化など、複数の収益源を持つ
ことが安定経営のポイントです。
ただ、どんなにサービスメニューを増やしても、施設自体に魅力がなければリピーターはつ
きません。
実は、外構や設備にしっかり費用をかけているドッグランは意外と少ないのが現状です。
地面がぬかるんでいる、フェンスが頼りない、日陰がなくて夏場は暑い、水飲み場がない。こ
うした不満はSNSや口コミですぐに広まります。
逆に言えば、施設の作りにこだわることが、最も確実な差別化になります。
「あのドッグランは設備がしっかりしていて安心」「地面がきれいで犬も飼い主も快適」。そんな評判が口コミで広がれば、自然とリピーターが増えていきます。
次の章では、外構のプロの視点から、ドッグラン施設づくりの具体的なポイントを解説しま
す。
【外構のプロが解説】ドッグラン施設づくりのポイント
① 土地選びと造成工事
ドッグランの土地選びで重要なのは、まず十分な広さの確保です。
小型犬用でも最低25坪(約80㎡)程度、大型犬も受け入れるなら120坪(約400㎡)以上が目安になります。
加えて、利用者のほとんどが車で来場するため、駐車スペースも余裕を持って確保しましょ
う。
立地としては、近隣住民への配慮から静かな場所が望ましいです。
犬の鳴き声は想像以上に遠くまで届くため、住宅密集地は避けたほうが無難でしょう。
土地が決まったら造成工事に入ります。地面の凹凸をなくす整地作業と、雨水がたまらない
ための排水設備の設置が基本です。
排水が不十分だと、雨のたびにぬかるんで利用できなくなり、施設の評判にも直結します。ここは見えにくい部分ですが、絶対に手を抜いてはいけないポイントです。
② 地面素材の選び方
ドッグランの地面は、犬の足腰への負担と、メンテナンスのしやすさを考えて選びます。
それぞれの特徴を整理します。
おすすめは、エリアごとに素材を使い分ける方法です。走り回るメインエリアは天然芝や人
工芝でクッション性を確保し、休憩スペースはウッドチップで雰囲気を変える。
こうしたゾーニングは見た目にもメリハリが出ますし、メンテナンスコストの最適化にもつながります。
③ フェンス・ゲートの設計
フェンスはドッグランの「命」ともいえる設備です。犬の脱走を防ぐのはもちろん、利用者
が安心して犬を放せるかどうかは、フェンスの質にかかっています。
高さの目安は、小型犬なら1.2m以上、中型犬なら1.5m以上、大型犬なら1.8m以上。た
だし、ジャンプ力の高い犬種の場合はワンランク上の高さを検討してください。
出入口の設計も非常に重要です。二重扉(ダブルゲート)は必須と考えてください。
1つ目の扉を閉めてから2つ目の扉を開ける仕組みにすることで、犬の飛び出し事故を防ぎます。ここをケチって一重扉にすると、いつか必ず脱走事故が起きます。
小型犬と大型犬を分けるエリア分離用のフェンスも検討しましょう。犬同士のトラブル防止
はもちろん、「小型犬専用エリアがあるから安心」という口コミは集客力に直結します。
④ 付帯設備で「また来たい」をつくる
フェンスと地面が整っていれば最低限のドッグランは成立しますが、リピーターがつく施設
には、もうひと工夫あります。
水飲み場・足洗い場は必須レベルです。立水栓を設置して、犬の水分補給と遊んだ後の足洗
いに使えるようにしましょう。車に乗せる前に足を洗えるかどうかは、飼い主さんにとって
非常に大きなポイントです。
日除け・休憩スペースも重要です。特に夏場は飼い主さんが日陰で休める場所がないと、長
時間の滞在が難しくなります。
テラス屋根やパラソル、植栽による木陰など、方法はいくつかあります。犬にとっても、自由に涼める場所があることで熱中症のリスクを減らせます。
照明設備があれば、冬場の日が短い時期や夕方の利用にも対応でき、営業時間を延ばすこと
ができます。
余裕があれば、アジリティ遊具(障害物やトンネルなど)の設置も差別化につながります。
犬が遊具で楽しそうにしている姿はSNS映えもしますし、飼い主さんの満足度を大きく上
げてくれます。
⑤ 近隣対策も設計段階で考える
ドッグランを長く経営していくうえで、近隣との関係は避けて通れません。トラブルになっ
てからでは遅いので、設計段階から対策を組み込みましょう。
道路沿いや住宅側には目隠しフェンスやルーバーフェンスを設置して、視線と騒音を軽減し
ます。犬は外を通る人や犬に反応して吠えることが多いので、視線を遮ることで無駄吠えも
減らせます。
駐車場からドッグランまでの動線設計も意外と見落としがちです。駐車場に着いた犬が施設
の外で排泄してしまうと、近隣からのクレームにつながります。
可能な限り、駐車場からドッグランまでの移動が施設内で完結するよう設計しましょう。
排水の方向にも注意が必要です。雨水やドッグラン内の洗浄水が隣地に流れ込まないよう、
排水計画は施工前にしっかり確認してください。
ドッグラン開業にかかる費用の目安
ドッグラン施設の工事費用は、規模や設備のグレードによって大きく変わりますが、主な工
事項目ごとの目安を整理します。
一般的に、ドッグラン単体の施設工事費用は数百万円〜1,000万円前後が相場といわれてい
ます。カフェや建物を併設する場合は、さらに上乗せになります。
なお、建材費や人件費は近年上昇傾向にあるため、インターネット上の古い情報をそのまま
鵜呑みにしないよう注意してください。
実際の費用は、施工業者から見積もりを取って確認するのが確実です。
工事を依頼する際は、フェンスの設置だけ、地面の舗装だけ、といったバラバラの発注では
なく、外構工事を一式で対応できる業者に相談するのがおすすめです。
造成から排水、フェンス、地面、付帯設備まで、全体の整合性を見ながら施工してもらうことで、コストの無駄も防げます。
ドッグラン経営を成功させるポイント
利用規約は「厳しめ」にする
利用者に自由に楽しんでもらいたい気持ちはわかりますが、利用規約は厳しめに設定するの
が長く続けるコツです。
ワクチン接種証明の提示義務、ヒート中の利用不可、飼い主の管理責任の明記など、ルールを明確にしておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
「自己責任でどうぞ」ではなく、しっかりルールを設けて安全な環境を維持している施設の
ほうが、結果的にお客さんからの信頼を得られます。
施設の定期メンテナンスを怠らない
開業直後はきれいでも、時間が経つにつれて地面が荒れたり、フェンスが傷んだりします。
天然芝なら芝の補修、人工芝なら摩耗のチェック、ウッドチップなら補充。こうした地道な
メンテナンスが施設の品質を維持し、リピーターをつなぎとめます。
イベントで来場のきっかけをつくる
定期的なイベントは、新規のお客さんを呼び込む強力な手段です。しつけ教室、犬種別のオ
フ会、マルシェやワークショップなど、犬好きが集まる場を提供することで、ドッグランの
認知度も上がっていきます。
&garden(アンドガーデン)でも、2026年4月よりドッグラン展示場にて犬関連の合同イ
ベント開催を予定しています。この展示場はどなたでも無料でご利用いただけます。
SNS・口コミを味方につける
施設がきれいで、犬が楽しそうに走り回っている写真は、飼い主さんが自然とSNSに上げ
てくれます。これが最も強力な集客ツールです。つまり、施設の見た目や清潔感に投資する
ことは、広告宣伝費を節約することにもつながります。
逆に、「地面がぬかるんでいた」「フェンスの隙間が気になった」といったネガティブな口
コミは拡散力も強いので要注意です。
自宅の庭にドッグランを作るという選択肢も
ドッグランを利用しているうちに、「自宅の庭にも作れたら毎日遊ばせられるのに」と考え
る飼い主さんは少なくありません。
自宅の庭にドッグランを設置すれば、利用料もかからず、天候や営業時間を気にする必要も
ありません。フェンスで囲んで安全な地面を整えるだけで、愛犬にとって最高の遊び場が自
宅に完成します。
&garden(アンドガーデン)では、ご自宅の庭へのドッグラン設置にも対応しています。
フェンスの高さや素材選び、地面の舗装、排水設計まで、ドッグラン施設の施工ノウハウをそ
のまま活かしたご提案が可能です。
「まずはドッグランで愛犬の反応を見てみたい」という方は、お近くのドッグラン施設に足
を運んでみてください。&gardenのドッグラン展示場も無料で開放していますので、お気軽
にお越しいただけます。
ドッグランの設置や外構工事に関するご相談は、お気軽に&gardenまでお問い合わせくださ
い。

