キッチンカー製作のリアル|太子でWan & Lohaを立ち上げた記録


キッチンカーを始めたい、自社の事業にキッチンカーを取り入れたい——そう考えたとき、最初に立ちはだかるのが「何から始めればいいんだろう」「車両は?内装は?許可は?」という具体的な悩みではないでしょうか。


私たちアンドガーデンも、新しい事業としてキッチンカー「Wan & Loha(ワン アンド ロハ)」を立ち上げました。ドッグラン展示場での出店を中心に、すでに稼働を始めています。


この記事では、キッチンカーを製作して運用するまでに必要なものを整理しながら、Wan & Lohaが形になるまでのプロセスを、現場写真とともにレポートしていきます。これからキッチンカーを始めたい方の参考になれば嬉しいです。


キッチンカー「Wan & Loha」をはじめました

姫路・播磨エリアで外構やエクステリアの工事を手がけているアンドガーデンが、なぜキッチンカー?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。


私たちが普段つくっているお庭やアプローチは、「外と人をつなぐ場所」だと考えています。キッチンカーも、外で人と人が出会う場所をつくるという意味では、根っこは同じ。地域のイベントやドッグラン展示場での出店を通して、地元の街に賑わいを届けていきたいと考え、キッチンカー事業をスタートしました。


新しいキッチンカーの名前は「Wan & Loha(ワン アンド ロハ)」。ワン(犬)と、ハワイ語のAlohaを掛け合わせた、犬と人にやさしい空気感のあるブランドです。Burgerwich(バーガーウィッチ)、サイドメニュー、マラサダドーナツなどを提供しています。


▶ Wan & Lohaの詳しい紹介はこちら

姫路でキッチンカーを依頼するなら|ドッグランで会える『Wan & Loha』と地域で活躍するキッチンカー紹介


キッチンカー製作・運用に必要なもの【全体像】

キッチンカーは、車に厨房を載せた飲食店です。普通の店舗とは違って「車として走らせる」要素と「飲食店として営業する」要素の両方をクリアしなくてはなりません。


具体的に必要となるのは、ベースとなる車両、車内に組み込む内装と設備(床、壁、サービスウィンドウ、給排水設備、電気設備、換気設備、調理台、収納など)、そして提供メニューに合わせた調理機器。これらを揃えたうえで、保健所の営業許可、運転免許、出店場所、衛生管理体制、メニューの仕入れルート、ブランドのデザイン(ロゴ、ラッピング、パッケージ)、各種保険といった運用面の準備が必要です。


ひとつひとつは難しい話ではありませんが、初めての方にとっては「どの順番で何を決めればいいのか」がいちばん悩むところかもしれません。ここからは、Wan & Lohaの製作を例に、それぞれを順に見ていきます。


ベース車両の選び方

キッチンカーのベース車両として一般的なのは、軽トラック、軽バン、軽ワゴン、1tトラック、2tトラック、3tトラックなど。メニュー内容、必要な調理スペース、走行ルート、予算によって、適した車両は変わります。


車両タイプ 特徴 向いている運営スタイル

軽トラック・軽バン 普通免許で運転可、扱いやすい、駐車しやすい、車体価格抑えめ。調理スペースは限定的 メニューを絞り、コンパクトに営業するスタイル


1tトラック 調理スペースを広めに取れる。普通免許で運転できる場合が多い メニュー数を増やし、本格的に営業したいスタイル


2tトラック 広い調理スペースで設備を充実できる。準中型免許が必要な場合あり 多メニュー展開、固定店舗に近い品揃えで営業したいスタイル


3tトラック さらに広い調理スペース。中型免許が必要、駐車・運転のハードルも高め 大規模イベント、団体ケータリング、本格的なメニュー展開向け


Wan & Lohaは、姫路ナンバーの3tトラックをベースに採用しました。Burgerwichやサイドメニューを充実したラインナップで提供したかったこと、ドッグラン展示場での常設出店を見据えてしっかりとした設備を組み込む必要があったことから、調理スペースを広く取れるトラックがフィットしました。


キッチンカー内装ができるまでの施工フロー

ベース車両が決まったら、いよいよ内装の製作に入ります。施工フローはおおむね6つの工程に分かれます。最初に開口位置の墨出しと養生を行い、続いて床のフローリングを施工。電気・照明・換気設備の工事、サービスウィンドウの取り付け、給排水設備とシンクの設置、そして最後にカウンター・調理台の造作という流れです。


メニュー内容や提供する食品の種類によって細部は変わりますが、おおよそこの順番で進めるのが基本。Wan & Lohaも、このフローに沿って製作を進めてもらいました。ここから、各工程を写真とともに見ていきます。


① 開口位置の墨出しと養生

最初に行うのは、給水設備や換気扇、サービスウィンドウなど、これから取り付ける設備の位置決めです。一般的なキッチンカー製作では、ここで間取り全体が決まるため、もっとも重要な工程のひとつ。メニューの動線や、調理スタッフが立つ位置から逆算して、設備配置を決めていきます。


Wan & Lohaの製作でも、壁にテープで墨出しをしたあと、必要な箇所に青いビニール袋で養生をしてから本格的な工事をスタート。この段階で、すでにキッチンカーの間取りが見えてきました。


② 床のフローリング施工

床は、衛生面と作業性を考えて選ぶのが基本です。水拭きしやすく、滑りにくい素材が望まれます。多くのキッチンカーでは、耐水性のある合板にフローリング材を貼る方法が選ばれています。


Wan & Lohaでは、木目調のフローリングを採用しました。アルミの床のまま使うこともできますが、雰囲気と作業性を考えて、温かみのある仕上げに。1枚ずつ寸法を合わせ、専用の工具でカットしながら丁寧に貼り進められていました。


③ 電気・照明・換気設備の工事

キッチンカー内では、調理機器・照明・換気扇・冷蔵庫などを稼働させるため、電気容量の設計が重要になります。発電機、走行充電、ポータブル電源など、電源確保の方法によって配線設計も変わります。


Wan & Lohaでは、天井にレールを仕込んで、ペンダントライトやスポットライトを後から仕込めるようにしました。壁面には換気扇を設置し、配線はモールでスッキリと隠して、操作スイッチや配電盤もまとめて壁面に集約しています。営業中ずっと使うものなので、ここの設計がそのまま日々の快適さに直結します。


④ サービスウィンドウの取り付け

サービスウィンドウは、お客さんとの接点になる、キッチンカーの顔とも言える部分。上に跳ね上げて庇(ひさし)にもなるタイプと、引き違いのスライド窓タイプが一般的です。


Wan & Lohaは跳ね上げタイプを採用しました。お客さんとの顔合わせがしやすく、雨除けにもなるキッチンカーの定番スタイル。網戸付きで虫の侵入も防げます。


⑤ 給排水設備とシンクの設置

給排水設備は、保健所の営業許可基準でもっとも細かく規定される部分です。シンクの数(基本的に2槽以上)、給水・排水タンクの容量、手洗い設備の構造などが、地域ごとの基準で定められています。


Wan & Lohaの内装も、この基準に沿った設計で2槽シンクを設置し、床下に給水・排水タンクを収納する形に仕上げてもらいました。


⑥ カウンター・調理台の造作

調理台と販売カウンターは、キッチンカー内でもっとも使用頻度の高い設備です。耐水性、耐久性に加えて、限られたスペースの中での収納力や動線の良さも求められます。

Wan & Lohaでは、針葉樹合板でつくった造作家具を採用。無垢の木の質感が、ブランドのあたたかみのある世界観によく合っています。窓越しにお客さんから見えるカウンターの表情も、大事なポイントでした。

内装、完成しました

6つの工程を経て、Wan & Lohaの内装が完成しました。

ただの白い箱だったアルミの空間が、フローリング、調理台、2槽シンク、跳ね上げ式のサービスウィンドウを備えた1台のキッチンカーへと姿を変えました。営業の場所に応じて、姫路の街や播磨エリアの各地を走り回れる、私たちのもう一つの「場所」のスタートです。

打ち合わせから完成まで、現場でこまかな調整を重ねながら、Wan & Lohaらしい雰囲気を一つひとつ形にしてもらいました。


営業許可と保健所の基準

キッチンカーを開業するには、内装が完成したあと、保健所の営業許可を取る必要があります。許可は「飲食店営業」「菓子製造業」など、提供する食品の種類によって異なります。


許可取得にあたっては、シンクの数と構造、給水・排水タンクの容量、手洗い設備、換気設備、収納の有無などが審査の対象です。兵庫県では2025年6月から共通基準が運用されるようになり、いずれかの保健所で許可を取れば、必要な手続きを経て県内全域で営業できるようになりました。手洗い設備の再汚染防止構造(自動栓・足踏み式・レバー栓など)や、ふた付きの廃棄物容器など、共通基準で細かく定められている項目もあるため、内装設計の前に最新の基準を確認しておくのが安全です。


Wan & Lohaも、製作の早い段階から保健所基準を意識した設計を行い、許可取得までスムーズに進めることができました。


運転免許と日々の運用

軽トラックや軽バンをベースにしたキッチンカーであれば、普通自動車免許で運転できます。1tトラックも年式や車両重量によっては普通免許で運転可能ですが、2tトラックは準中型免許、3tトラックは中型免許が必要となる場合が多いため、ベース車両を決める前に運転できるドライバーの確保も含めて確認しておきましょう。Wan & Lohaは3tトラックをベースにしているため、運転を担当するスタッフが中型免許を持っているかどうかも、車両決定の段階であわせて確認しました。


日々の運用面では、出店場所までの移動と駐車、車両のメンテナンス、給水・排水タンクの洗浄、ガス・電源の補給など、走らせる車ならではの細かな手間が発生します。週末イベント中心の運用、平日ランチタイム中心の運用、ドッグラン展示場のような常設運用など、スタイルによって必要な準備の量も変わってきます。


製作にあたって、プロの力を借りました

新しい事業として一から立ち上げる以上、自分たちだけでは見えない部分も多くありました。今回の製作にあたっては、姫路・兵庫で実績のある2人のプロに伴走してもらえたことが、Wan & Lohaの形を決める上で大きな力になりました。


製作・運営のアドバイザー|Baffy cafeさん

兵庫県を中心にイベント出店やキッチンカー運営を手がけているBaffy cafeさん(@baffycafe)に、製作プロセスから運営面の助言まで全面的にサポートしていただきました。


ハンバーガー、ドーナツ、ホルモン焼きそば、かき氷、韓国料理と、幅広いメニューでイベントを盛り上げてきた経験の持ち主。「これから自分たちのキッチンカーで何ができるか」を一緒に考えながら、設備のレイアウトや動線、現場で起こりがちなトラブルへの備えまで、現場視点で多くのことを教えていただきました。


ロゴ・ブランディングデザイン|Ayanize Designさん

「Wan & Loha」のロゴとブランドの世界観をデザインしてくださったのは、兵庫県西脇市のグラフィック・Webデザイナー、Aya(あや)さん(@ayanize_design)。


「コンセプト × デザイン ブレない軸を構築」をモットーに、ロゴから名刺、チラシ、HPまで幅広く手がけられている方です。Wan & Lohaの旗や紙物に入っているロゴも、Ayaさんにデザインしていただいたものです。


Wan & Loha、出店を始めています

完成したキッチンカーで、現在ドッグラン展示場での常設出店を中心に、活動を始めています。


Burgerwich(バーガーウィッチ)は、外で食べると一段と美味しい、私たちらしい一品。ビーフと野菜、エビチリ、スピナッチ(ほうれん草)など、バリエーション豊かにラインナップしています。

モチコチキンやフライドポテトといったサイドメニュー、そしてマラサダドーナツのおやつまで、外と人をつなぐシーンに、ちょっとした楽しみを届けていきます。


ドッグラン展示場での常設出店のほか、イベントへの出張も対応していますので、お気軽にご相談ください。


▶ Wan & Lohaのメニューや営業情報の詳細はこちら

姫路でキッチンカーを依頼するなら|ドッグランで会える『Wan & Loha』と地域で活躍するキッチンカー紹介


おわりに

姫路で外構やエクステリアを手がけているアンドガーデンの、新しい挑戦のスタート地点。

これからこのキッチンカーで、地域の景色のなかに少しずつ加わっていけたらと思います。

外と人をつなぐ、私たちの新しい一歩を、ぜひ見守ってください。